大西 里枝

京扇子 大西常商店

PROFILE

PROFILE

大西 里枝

1990年3月14日 うお座

趣味:半年前からランニングを始めました。バカみたいに毎日8kmくらい走っています。経営者は皆走ってるし走ってみようと。肉体的ストレスは精神的ストレスを凌駕するんですって。ほんとそうだと思います。大好きなお酒も朝走れるくらいまでにしています。
職業病:色にうるさいです。本の背表紙の色が気に入らないってカバー外したりします(笑)ちなみに北の地域では寒色が映え、南は暖色が映えるんです。北欧雑貨にブルーが多いのも首里城の赤も、やっぱりあの色味が美しいんですよね。京都はたくさんの色が見える地域なんです。

扇子は奈良時代に誕生した、木簡を重ねて作られた「檜扇(ひおうぎ)」が始まりと言われています。当時はメモのような役割をして式典の順序などが記されていましたが、平安時代中期になると数本の竹に紙を貼った「蝙蝠扇(かわほりおうぎ)」が生まれ、涼を取ったり感情を表現したりするものとして使用されるようになっていきました。現代では扇いで涼む道具として広く使われているほか、末広がりの形から縁起ものとしても使用されています。また、能や歌舞伎、落語など日本の伝統芸能では切り離せない小道具でもあり、扇を笠や盃、箸などに見立てた演目も存在します。
「大西常商店」は、京都・建仁寺で元結製造所として代々商売をしていましたが、日本髪の衰退とともに扇子製造所として事業を展開。その後100年以上にわたって高品質の扇子を作り販売しています。築150年の町家である社屋は京都市指定物件でもあり、レンタルスペースとしても活用しています。

上澄みではなく心の京都

京都は良くも悪くも人のつながりが密接でコミュニティが近い町だと思います。噂はすぐ回りますが(笑)、頑張っているのを見てくださるし、私が家業に戻ってきたときもすごく応援してくれました。私は京都の、キラキラしたきれいな上澄みの部分だけじゃなくて、中秋の名月を愛でたり、ご先祖様を大事にしたりというソフトな部分、暮らしの楽しみ方の部分を大事に守っていきたいなと思います。物事の考え方は、ほかの都市とは違う何かがあると思ってるんです。
例えばお盆になると、うちはご先祖様を迎えに六波羅蜜寺に鐘をつきにいくんです。鐘を鳴らすと持っていた高野薪にご先祖様がついてきてくれるという風習があって、期間になるとこの辺の人は皆行くんですよね「いるわけないやん」って一蹴されそうなことですが、私たちは(ご先祖様は)いるって信じて真剣に向き合っているんです。

暮らしから京都を楽しむ

京都が観光都市だというのは正しい。ですけど、人の生き方や暮らしから何かを持って帰ってもらえるような観光をしてもらいたいなと思います。
お盆にご先祖様と同じものを食べてご接待させていただくのも、私たちはご先祖様から仕事をいただいているということでもあり今につながっていることを実感しているから。自分のいのちについて考える機会にもなりますし。
節句や季節のお祝いも「今年も家族が無事でよかったな」「今年は家族が増えたね」と振り返って生きる喜びを感じることでもある。古民家だけじゃなく新しいマンションが増える、それは町の未来につながるので大切です。でもそこに少しでも風習や暮らしを楽しむ心があると、京都ってもっと楽しくなるなと思うんですよね。

点から線へと広げた商いを

今は伝統行事などの文化を含めてSNSで発信しているんですが、それを見た方が扇子を見に来てくださることもあります。ビールを持ってきてくださることも(笑) 私、待ち受け画面にするくらいビールが好きでXで発信しているんです(笑)
今は扇風機やクーラーもあるし、携帯用でも扇風機がありますよね。扇子は本来実生活で必要がないものなんです。だけど、それを持つ意味・本質ってなんだろうというところを深堀しているところです。考えていて今思っていることが、「扇子って品を上げるアイテム」だということなんですね。
店舗も新しくしたので、大人の品みたいなものを含めて、扇子という「点」から少し広げて「線」として商品を構成しご提案できたらなと思っています。

京町家で扇子を買う、という意味

ティッシュじゃなくて懐紙を使うとか、お金のままではなく懐紙に包んでポチ袋に入れるとか、そういうことって上品で美しいと思うんですよね。当店でも、今後懐紙などを仕入れていこうと考えています。暮らしに「品」を求めるお客様に、使い方を含めてご提案できるお店にしたいなと思っています。扇子や京都の文化をお伝えするという点で、365日のうち360日は着物を着て、築150年の町家を構えるというのは、雰囲気を含めてとても大切だと考えています。
お客様からのレビューで「買い物とは何かを考えさせられる店でした」と書かれていてすごく嬉しかったんです。「らしい店」であることは大事。ここで買ってよかったと思ってもらいたいなと思います。本質を伝えるためにも、京町家を残して商いをしていくことが大事だなって思いますね。

MOVIE

INTERVIEW

いつからこういう由緒ある家柄に生まれて、商売をしていると自覚していたんですか?
小学生くらいですね。でも昔は町家の古い家だったので恥ずかしかったんです。お盆も休まずご先祖様のお世話をして、週1でお墓参りに行っていたので、他の家と違うんだなって。中秋の名月や節句のお祝いなど、季節を巡っていくのが昔は嫌いだったんですが、今はいいなあと思っています。お盆期間は三食ご先祖様と同じ精進料理を食べるんですよ。昔はお肉も食べなかったのでおいしくないな…と(笑) 
観光客に町家を見て何を感じてほしいと思っていますか?
自分で言うのもなんですが、伝統行事に町家にと、私ほど京都の暮らしをしている人は少ないと思うんです。今後は、例えば七夕には梶の葉に願い事を書いて水に浮かべるというのをするんですが、そういう季節の行事をゲストと一緒に体験して触れてもらえるといいなと思っています。京都の昔の暮らしや季節を大事にする心を、どうやったら感じてもらえるか考えています。
ツーリストは「観光」に飽きてきているので、体験を通してインスピレーションを受けられることはすごいことだと思います。心があるからこそ建物が残っているということですよね。
マンションにするのが一番儲かるでしょうね(笑) やっぱりすごくお金がかかるんです。大工さんも町家専門の方でないとダメですし。昔、補強工事のときに両親がいい車2台を持ってたんですが、あるときそれがバン1台に変わったんです。家具もたくさんあったんですが、それも売って。そんな両親の心意気を受け継ぎたいなと思っています。扇子は京都の文化のなかで育ってきましたし、文化を含めて発信したい。お金も残して、ちゃんとこの町家を100年、200年と次の世代へ残して守ってもらうことが大事だなと考えています。

ABOUT THIS DIALOGUE

                           
グループ料金 ¥ 200,000
参加人数 1~4名
実施時間 10:00~13:00 or 14:00~17:00
キャンセル規約 開催日の7日前以降のキャンセル料は100%
お支払い方法 クレジットカードのみ
応募条件 18歳以上
(保護者同伴の場合、12歳以上可)
予約期限 対談日の7日前まで
当日の流れ 1. ホテルまでお出迎え
2. 現地到着
3. ブリーフィング(約30分~約1時間)
4. ダイアローグ(約1時間)
5. ホテルまでお送り

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